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2009年8月 9日

「オリンピックの身代金」奥田 英朗

「オリンピックの身代金」奥田 英朗

面白かった!

伊良部先生も好きだけど、それ以前の作品「邪魔」がけっこう好きだったので、サスペンスとしても面白いし、構造批判としてもじっくり読ませる本だと思いました。

この本の舞台は東京オリンピックの年ということで、私が上京したバブルのころの東京とは何十年も違うのに、共感できるところがたくさんありました。

まず東京には富が集中していること。
その一方では地方には贅沢のぜの字も知らないお年寄りがたくさんいることとか、自由な世の中になっても、搾取するものとされるものに分かれていることとか…

この本の中で描かれる東京オリンピックの準備にかり出された出稼ぎの肉体労働者の人権は、何千年も前にピラミッドや万里の長城を作った時代とあんまり変わらないかもと思わずにいられないような厳しいものです。

その中で成り行きで労働に従事した東大大学院生の島崎が社会の不平等について考えるのは当然のことで、つい、島崎を応援しながら読んでしまうのですが、事件にかかわる刑事さんや同級生もなかなか魅力的な人物なのであっちの肩も持ち、こっちの気持ちにも共感し、、、と全体的にどっちつかずな傍観者で読んでしまいました。

ハッピーエンドではなかったけれどいやな感じはしなくて、考えさせられる本でした。

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